出産でかかった費用も医療費控除の対象になることをご存知でしょうか。
出産は、出産一時金の42万円があるとはいえ、分娩費用・入院費用だけでなく、新生児管理保育料、検査・薬剤料、処置・手当料など様々な費用がかかります。
私は夜中に陣痛がひどくなったこともあり、夜間割り増し料も取られました。
結局、自己負担額は出産だけで10万円をオーバーすることになりました。
しかし、これらの費用も医療費控除申請を行うと、いくらか戻ってくるのです。
出産だけでなく、妊娠期間中の費用で申請できるものもあります。
この記事では、医療費控除とは何か、妊娠から出産にかかる費用で医療費控除の対象になるもの対象にならないものについてまとめていきます。
また、子どもが早生まれの時、年をまたいでの出産となった時の医療費控除申請についても解説していきます。
目次
医療費控除とは
医療費控除は、1年間にかかった医療費が一定額を超えたとき、申請をすることでお金が戻ってくる仕組みです。
その年に「通院」や「入院」などで医療費を多く支払った場合に、所得税が軽減され、還付金として戻ってくるのです。
家族の分も合算できるので、1年間で医療費がかさんだなと思う年には、医療費控除を検討するとよいでしょう。
ちなみに、この医療費控除は年末調整ではできないので、確定申告で医療費控除申請をする必要があります。
医療費控除でいくら戻ってくるのか
医療費控除は、収入から計算して控除する額が決まります。
計算方法は下記です。
「その年に支払った医療費」ー「保険金などで補填される金額」ー10万円=医療費控除額
医療費控除額×所得税率=還付金額(戻ってくるお金)
つまり1年間で10万円以上医療費がかかった場合に、医療費控除をするとお金が戻ってきます。
出産育児一時金の計算方法
「出産育児一時金」という、出産すると国から42万円が支給される制度があります。
(産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産した場合は40.4万円)
これは「保険金などで補填される金額」に含まれます。
自然分娩での出産に55万円、その他医療費や交通費として7万円かかり、うち出産育児一時金で42万円が戻ってきたとき、医療費控除の申請をして戻ってくるお金は?
※この年の年収は700万円
医療費控除額:(55万円+7万円)ー42万円ー10万円=10万円
還付額:10万円×23%=23000円
(年収700万円の所得税率は23%)
医療費控除の対象となるもの
医療費控除の主に対象となるものは下記です。
- 保険診療(保険証が適用されるもの)
- 自由診療(保険外治療)
- 妊娠による定期検診や検査費用
- 子供の歯科矯正治療
- 松葉杖・義歯などの購入費
- 市販薬
- 治療のための針灸・指圧
- 入院時の費用(食事代や治療に必要な場合の差額ベッド代含む)
- 病気の再発防止のための健康診断(経過観察など)
- レーシック手術
- 子供の弱視用メガネ
- 交通費(子供に付き添う親の分も)
- 移動が困難な場合のタクシー代
妊娠~出産で医療費控除されるもの
上記で「妊娠による定期検診や検査費用」と書きましたが、それ以外にも出産に関わる事で対象となるものがあります。
- 入院費
- 分娩(ぶんべん)費
- 赤ちゃんの入院費
- 通院・入退院時の交通費
- 緊急時のタクシー代
- 産後1カ月健診
- 母乳外来等(治療目的)
- 不妊治療費
などです。
妊婦検診は地域の補助券などで賄える場合もありますが、場所によっては補助券分を超えての支払いが発生したり、交通費もかかります。
また、高額な費用がかかる不妊治療も医療費控除の対象となります。
これらが対象となるので、出産した年は医療費控除条件の10万円を超える可能性は高いと思います。
支払った領収書などは必ず取っておきましょう。
出産関連で医療費控除の対象にならないもの
出産に関することでも控除の対象にならないものもあります。
- 妊娠検査薬代
- 車通院時のガソリン代
- 予防接種等(医師判断での実施は対象)
- 入院中の差額ベッド代
- 里帰り出産時の交通費
- 入院用パジャマや洗面道具などの費用
- 赤ちゃんのおむつ代、ミルク代
などです。
これらは対象にはなりませんので、申請内容には含めないようにしましょう。
早生まれ・年をまたぐ時はどうすればいいか
医療費控除の対象期間は、その年の1月1日〜12月31日です。
領収書の日付で区別して、その年に対象となるものだけを申請します。
例えば、2018年の6月に妊娠が判明し、2019年の2月に出産した場合、
2018年の確定申告では2018年に行った妊婦検診や交通費(入院などしていればそれも含める)などを申請し、
2019年の確定申告では2019年1月~出産までにに行った妊婦検診や交通費に加え、分娩費・入院費・産後1ヶ月検診費・治療のための母乳外来などでの費用を申請します。
2018年にかかった医療費は2018年分として2019年2月16日から3月15日の確定申告で申請、
2019年にかかった医療費は2019年分として2020年2月16日から3月15日の確定申告で申請するという流れになります。
※2020年はコロナの影響で確定申告の期間が延長となりました。
詳細は国税庁HPの確定申告(令和元年分)をご確認ください。
まとめ
医療費控除は、5年さかのぼって申請することができます。
出産後、育児に追われて申請を忘れてしまっても5年以内に申請できれば問題ありません。
そのためにも医療費の領収書、また家族の分の領収書も捨てずに保管しておきましょう。
確定申告の作成は国税庁の確定申告作成ページへ。