マイナンバーカードと運転免許証が一体化されるのはご存知でしょうか。直近でも以下のようにニュースに取り上げられるようになっています。
小此木国家公安委員長は、記者団に対し「運転免許証の情報をマイナンバーカードのICチップに登録して一本化する。住所変更などの手続きもワンストップ化され、住んでいる地域以外でも、更新手続きが可能になる」と述べ
参照:NHK
でも気になるのが運転免許証がマイナンバーカードと一緒になることでどんなメリットがあるのか。逆にデメリットはないのかということです。本記事ではマイナンバーカードと運転免許証が統合されることによるメリットとデメリットについて、いつから一体化されるのかも併せて解説していきます。
まだマイナンバーカードを取得していない人はこちらを参考に取得してみてください。
目次
マイナンバーカードと運転免許証の一体化とは
マイナンバーカードはご存知の通り、氏名や住所、生年月日から性別まで顔写真が付いた公的な身分証明書になっています。
身分証明書の機能に加え、ひとりひとり異なる番号「マイナンバー」を割り当てることで、行政における様々な手続きを簡素化し、利便性を高めていくことを目的に作られたのがマイナンバーカードです。
このマイナンバーカードの利便性向上のひとつの機能として運転免許証の情報をマイナンバーに紐付けるというのが今回の一体化になります。
マイナンバーカードと運転免許証を一体化する狙い
今回、話題になっているマイナンバーカードと運転免許証を一体化する狙いはどういったものがあるでしょうか。
考えられるものとしては以下の4つがあります。
・手続きをワンストップ化する
・オンライン化を進める
・マイナンバーカードの利便性を高める
・マイナンバーカードの普及率を上げる
手続きのワンストップ化やオンライン化を進めるというものは行政や利用者のメリットそのものですが、それらを推し出すことでマイナンバーカードの利便性を上げて普及を進めたいというのも目的だと考えられます。
マイナンバーカードはマイナポイント事業など様々な施策を打ち出しているものの、その普及率は20%前後にとどまっています。5人に1人しかマイナンバーカードを保有していない計算です。
しかし、マイナンバーカードを普及させることで行政手続きの効率化が進むため、いろんなところで予算をかける必要が無くなります。そのために政府は様々な施策で宣伝をしてマイナンバーカードの普及率を向上させようとしています。
その一環として運転免許証の一体化を推し進めることでマイナンバーカードの普及率向上を目的にしていると予測できます。マイナンバーカードの宣伝をするのにも費用がかかります。その費用は税金から賄われているため、早めに作ることで税金が他のところで有効活用されるようになります。
詳しくはこちらの記事もどうぞ。
マイナンバーカードと運転免許証の一体化はいつから
マイナンバーカードと運転免許証の一体化がいつから開始されるのか確認していきましょう。
時期 | 概要 |
2025年まで | システムの全国統一化及び移行 |
2026年以降 | 一体化開始 |
運転免許に関する情報は警察が都道府県ごとにシステムを作っているため、まずはシステムを全国で統一化する必要があります。この統一化とシステム移行を2025年までに行うという想定になっています。
さらにマイナンバーカードと運転免許証の一体化は2026年以降に開始するということになっているので、実現化はまだまだ先の見通しになっています。
マイナンバーカードと運転免許証を一体化するメリット
マイナンバーカードと運転免許証の一体化を進めていくことはわかりましたが、マイナンバーカードと運転免許証を一体化することで実際に私たちにどんなメリットがあるのでしょうか。
考えられるメリットは以下の6つです。
・運転免許証の発行や更新がどこでも行える
・住所変更の手続きが簡単になる
・手続きがオンライン化される
・違反による反則金の支払いもオンライン化される
・所持するカードの枚数が減る
・マイナンバーカードの利便性が上がる
順番に見ていきましょう。
運転免許証の発行や更新がどこでも行える
マイナンバーカードと運転免許証がひとつになると運転免許証の発行や更新がどこでも行えるようになります。加えてマイナンバーカード自体を運転免許センターでも発行できるように調整が進んでいるようです。
住所変更の手続きが簡単になる
引っ越しなどで住所変更が発生した際に運転免許証を別に所持している場合には、住所変更の届けをするために役所に届け出をするのに加えて、運転免許証の住所変更のために警察署にも別に届け出をする必要があります。
それがマイナンバーカードと運転免許証が一体化されると手続きが役所への届け出だけで完結するのです。長い待ち時間が発生する手続きがひとつにまとめられるのはすごく助かります。
手続きがオンライン化される
車庫証明や道路使用許可、落とし物に関する申請などについては、今後はオンラインで手続き可能になる見通しです。今までは役所や警察署に行ってでしか対応できなかったものがオンラインで完結するようになれば、かなり利便性が上がる内容です。
違反による反則金の支払いもオンライン化される
手続きのオンライン化に加えて、交通違反による反則金の支払いもオンライン化される見通しです。基本的には無い方が良いですが、違反があった場合の支払いには銀行か郵便局に行く必要があるため、平日でなければ支払いができませんでした。それがオンライン化されれば、いつでも支払いができるようになります。
所持するカードの枚数が減る
単純な話ですが、マイナンバーカードをすでに所有している人は、日常的に持ち歩くカードの枚数が1枚減ることになります。マイナンバーカードには様々な機能の一体化が進んでいて、健康保険証も一体化が進められています。
健康保険証も一体化させてしまえば所持するカードが2枚減ることになります。
マイナンバーカードの利便性が上がる
マイナンバーカードに運転免許証の情報を紐づけることで、マイナンバーカードの利便性が上がります。マイナンバーカードの利便性が上がれば利用者が増え、さらに利便性を向上させる動きになります。
健康保険証だけでなく銀行口座の紐付けも進み、今後はさらなる機能の紐付けでより便利になることが予測されます。
マイナンバーカードを持つことのメリットは以下の記事でもまとめているので参考にしてみてください。
マイナンバーカードと運転免許証を一体化するデメリット
マイナンバーカードと運転免許証が一体化することは、当然のことながらメリットだけでなくデメリットも発生します。どんなデメリットが発生するか把握しておくことは重要です。
主に以下の2点があげられます。
・政府や自治体に一元的に情報が管理される
・紛失等の情報漏洩リスクが高まる
順番に見ていきましょう。
政府や自治体に一元的に情報が管理される
すでに口座情報の紐付けや、健康保険証の一体化も進んでいる中で、さらに運転免許証もマイナンバーカードに統合されると、より多くの情報が政府や自治体に管理されることになります。
マイナンバーを用いることで給付などを速やかに対応できるようになる半面、個人の情報をどこまで管理されるべきものなのかは、今一度考える必要があるかもしれません。
紛失等の情報漏洩リスクが高まる
マイナンバーカードの普及に一番ネックとなっているのが情報漏洩のリスクです。マイナンバーカードに多くの機能や情報が集約されることで利便性が高まる一方で、マイナンバーカードを紛失した際や、悪意を持って何かしらの方法で情報が漏洩された際の被害範囲が広がることになります。
日常的に携帯するべきカードが減る分、マイナンバーカードだけは紛失しないように細心の注意をはかる必要があります。マイナンバーカードを持つことのデメリットは以下の記事でもまとめているので参考にしてみてください。
マイナンバーカードとETCカードの統合は?
マイナンバーカードと運転免許証の一体化が進む一方で、さらなる利便性向上のために期待されているのが、マイナンバーカードとETCカードの一体化です。
口座情報の紐付けも行われていることからマイナンバーカードを使った決済なども機能としては盛り込むことはできるのではないかと考えられます。残念ながら現時点では、それらの話は出ていないため実現は見えていません。
車に乗り込む際にETCカードの差し込み口にマイナンバーカードを差すことで、ETCとしても利用できるようになると、かなり実用性が向上するので今後の機能の追加には引き続き注目していきたいですね。
まとめ
マイナンバーカードと運転免許証の一体化は2026年以降には実現するべくシステム移行の準備が進められています。
考えられる目的は以下の4つがあります。
・手続きをワンストップ化する
・オンライン化を進める
・マイナンバーカードの利便性を高める
・マイナンバーカードの普及率を上げる
マイナンバーカードと運転免許証を一体化するメリットは以下の6つです。
・運転免許証の発行や更新がどこでも行える
・住所変更の手続きが簡単になる
・手続きがオンライン化される
・違反による反則金の支払いもオンライン化される
・所持するカードの枚数が減る
・マイナンバーカードの利便性が上がる
逆に考えられるデメリットは2点があげられます。
・政府や自治体に一元的に情報が管理される
・紛失等の情報漏洩リスクが高まる
マイナンバーカードの機能が増えるごとに私たちの暮らしは便利になっていきますが、その一方で情報漏洩に関するリスクや紛失リスクが高まるのは事実です。そのリスクを回避できるように注意しつつマイナンバーカードの利用をすれば、上図に利便性だけを享受することができます。
今後もマイナンバーカードの機能追加には期待していきたいところです。